2009/04/01

アトリエ訪問第43回 加藤宇章氏

43

個々が集まってひとつの意思をもつ…自然の営みのように。造形が始まる。

■アトリエぱお設立 代表 「宮沢賢治絵童話集」ほか挿絵、個展、グループ展、
公募「広島の美術」奨励賞 「筆あそび大賞展」 「アートルネサンス展」「タウンページ:みんなの作品」審査員/広島市立大彫刻科、中川学園、ヒューマンアカデミー他非常勤講師、制作は主にテラコッタに取り組む

■アトリエぱお

  何かを始めたくなる季節に、加藤氏にお会いできるのは幸せな機会だ。
  やさしいフォルムの作品群や人類の進化の様子を楽しく表現したシリーズなど、気になるアプローチに惹きつけられいたから。

  33歳でスタートされた「アトリエぱお」。15年目を迎えられ、その間、あまたの子ども達が造形に親しみ、造ることの喜びをその身に浸透させて拡がっていった。
  ぱおの命名は、地球の半分にひろがった人種=モンゴロイドの源流である遊牧民の移動式住居にちなんでいるそうだ。
  訪ねていった時も学生の制作活動とともに氏の作品が並び、生長するアートの空間を共有している印象を受けた。他の部屋ではどんなことが進行中なのか、のぞきたくなる衝動が起こる。

  ちょうどソウルでのドライ展の作品を仕上げられているところで、テラコッタによる彫刻を和紙で象り、広島の空気をつめて持っていくのだと楽しそうに語られた。
  「群れ」をテーマにされた造形は、自然なうねりをもっていて、思わずさわりたくなるところだが、乾く途中であることを知って我慢した。

■「生命の群れ」

  氏によると、意志をもたない細胞があつまってひとつの命となり意志をもち、単体の生命の群れはまるで全体でひとつの意思をもっているかのように活動をする。など自然の営みはエネルギッシュに脈動している。
  また人も同様でグループや組織をつくり社会や国家を形作るのは生命の本能に根ざしている そうだ。街はいわば生き物の巣の集合体で、高台から見ていると朝夕のラッシュの流れなど人の営みは生き物の群れように見える 。

■広島という街は氏が育った長崎とも、山と海が近いなど、情景が似ていて懐かしいとのこと。

■造るということ

  様々な子ども達の造形活動をサポートしてきた氏は、自身の制作と子ども達への造形プログラムは連携し、相乗的にアプローチが拡がっていくとのこと。このアトリエを、自分が今、子どもだったら絶対に行きたい!と思える空間にしたい。子どもだからといって、この程度でいいという姿勢で終わらせないことが、技法やテーマ、モチーフや資料を追求していくことにつながり、自身の造形の探求となっていく。
  また、指に感じる土の様子が心地よい間だけ制作しするというスタンスをもっている障害者アーチストの話をされた。土が乾燥し始めたら制作をやめるというその人の作品は、季節や天候により高さが変わり、自然と土との対話が年輪のようにリズムを刻む作品群となるのだ。

  湧き出てくるように造る。そうありたいと感じたとのこと。
  これからも様々な人々が造形の制作ができる空間を維持し、制作者同士の交流や、活動を続ける術を充実させていきたいとのこと。氏は造形とともに「アトリエぱお」という生き物を創造中なのかもしれない。
  拡がるアトリエは、空気を愉しく染めゆく音楽のようだった。

<文・泉尾/写真・原>

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