2014/06/04

第77回アトリエ訪問 画家 根木達展

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プロフィール

1943年

広島市生まれ

1972年

第46回 国画会展入選 以後76年まで5年連続入選

1999年

第51回 広島県美術展 優秀賞受賞
第6回 公募「広島の美術」佳作賞受賞

2000年

第15回 国民文化祭・ヒロシマ2000美術展 佳作賞

2001年

自由美術展 初出品入選 以後毎回出品

2003年

第8回 公募「広島の美術」佳作賞受賞

2004年

自由美術協会 会員推挙

2007年

さかいでARTグランプリ2007 佳作賞

現在自由美術協会会員

 

 

 

美しく浮き出た色彩は濃密な闇から生まれた光子のきらめき。生と死をみつめつづけた画家に降りてきた脈動する宇宙。

■時代の息吹

訪れた春に草木がほころぶころ、根木氏のアトリエに伺った。
ご自宅とアトリエの前庭から一段低い田畑とその向こうに、ふわっと起き上がる里山。新緑の柔らかい葉を撫でて風が渡っていくのが見える。1965年ごろから絵を描かれ始めたそうだ。特定の師事はされず独学だ。数年後の国鉄美術展では国鉄美術会賞と取られるなど早くから力をつけ戦後のアートシーンとして伝説の広島青年アンデパンダン展で幅広いアーチストと交流。ともにひとつの時代を作った。
その頃のメンバーがとても楽しく、いまでも印象深いとうかがった。国鉄の宿舎に入っていた時期、大きな絵が描ける環境がなく、国展に写真の部門で参加したという経緯もあり、現在の抽象表現にも写実の経験が生きている。あるときから生と死をみつめつづけ、テーマとされているとのこと。
画業の展開の仕方など、自らデータを蓄積されたファイルや、画集に入っている絵を見せていただきながらお話を伺った。現代日本の抽象画について、他の作家の取り組み方についても話してくださった。

■光を弾き出す

油彩画のアトリエではあるけれども工房といったほうがしっくりくる。もとはアトリエではなく農具を置く倉庫として作られたそうだ。現在は、偶然キャンバスのサイズにぴったりに仕上がった棚を重宝されている。自らつくられた大きなキャンバス台など大工仕事のほか、電気工事1種の資格を生かした造作もこなす。描くために握るのは絵筆のほかに圧送ガン。大きい25リットルコンプレッサーの音が響く現場だ。吹き付ける圧縮された空気によって飛散していく濃密な層。その瞬間になめらかで細かいグラデーションが形づくられていく。その集中力。デジタルではないのに光を加算する描法だ。細胞にみえたり、無数の群集が見えたり、うごめいていると錯視するほどのなめかしい細密なグラデーション。線形に増大する可積分系の軌道と、指数的に増大するカオス系の軌道の中庸を行く文様がうきだし、宇宙の構造が実に柔らかく相転移し合っている感じが神秘的に描き出されていく。

■■生と死のはざまが紡ぐ

通常、自然界の時間発展を記述するには、力学系が用いられる。
それは写生で得られるリアルだ。生命はそれだけで表現できるものではない。形状がカオスの色を帯びるのは氏の命の妙を覗く行為に、世界が応えてくれているようだ。コンプレッサーで圧縮された細い風は、太極を解いた奔流となって画布に光をふきこんでいく。生 (き)シリーズは命の波動を多次元から平面に引き寄せていく行為。美しく浮き出た色彩は濃密な闇から生まれた光子のきらめきだ。
始原の光景があらゆるパターンで紡ぎだされていくようだった。

<文/栗田祥子・写真/原敏昭>

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