生活の匂い、土の匂いのする詩情漂う大地のこころが好きです。どこまで表現できるか、心との戦いです。
プロフィール
・日本美術院研究員
・広島県日本画協会理事兼事務局長
・NPO法人 ふくし文化塾はつかいち理事長
インタ一ネット美術館アクセス数が五万を超えた最初の訪問先は日本画の平先生だった。訪問客が増え続けているので嬉しい限り。
この日は珍しく雨。いつもであれば宮島や瀬戸内海の海の島々が望めるという高台にある花と樹木に囲まれ落ち着いた、ただずまい。まるでご自宅の庭のように見える公園が目前にあるすばらしい環境。この6月に福屋・美術画廊で開催予定の「日本画三人展」に向け制作中で数十点の作品がアトリエの中で完成を待っているところであった。
先生は定年まで広島県に勤められ、主に地方自治、福祉保健、行政改革などの仕事を手がけられている。定時に帰ることができない部署が殆どの中、ある時期定時に帰宅できる部署に移られた際、自分の人生に何か残るものをとして日本画を始められたそうだ。その後も多忙な部署にありながら、職場の理解により絵を描き続けることができ、今日の自分があるといわれている。
そのままだと素人の域を脱し切れなかったところ、広島で院展開催の時、院展同人の宮廻先生に紹介され、1、構図のよさ 2、題材の目新しさ 3、特徴ある色づかいの3つが大切という教えをもとに、院展に挑戦され2000年の「春の院展」に初出品、初入選、2002年には「院展」に初入選されている。
これからの目標は、来年70歳を迎える記念に、これまで見てきた感銘深い100の山々を描くつもりがあるといわれている。
一方でボランティア活動を熱心に推進されていて、地元廿日市市ではNPO法人ふくし文化塾を通じて地域づくりを、カンボジアでは市民の交流会館として「ひろしまハウス」の建設に絵画で大変な貢献をされ、このほか施設に入居しているお年寄りや障害を持つ方々、さらに三原では失語症の方々に絵画によるケアの効果を目の当たりにされている。それらの方々が無心に描く姿や熱意が先生のパワ一の源にあるような気がした。
今年の第62回春の院展は3月27日から4月8日迄東京日本橋三越本店で開催されています。久しぶりの入選ということです。
奥様から珍しいチ一ズグラタンケ一キと珈琲をいただいた後、降りしきる雨の中ご親切に傘を差しかけていただき帰りの車に乗った。
<文・馬場宏二/写真・原敏昭>