アトリエ訪問第21回 前田 多寿子氏

花屋さんの花から、プランターで育てた花、道端の小さな雑草まで、ありとあらゆる植物を素材として使い人工的に着色をしない、芸術的なおし花を模索する。

プロフィール
1980年から柳川昌子先生に師事しおし花を始める
1990年 大阪花と緑の博覧会に出展金賞受賞。
前田多寿子おし花教室を始める
その後現在に至るまで国内、海外で作品展を開催
広島県内各地でおし花教室を開設

  今月は花の芸術家前田先生をお訪ねした。アトリエは県北の庄原にあって花を集めておし花を作る場所にもなっている。此処では畑で花を育てることができるだけでなく様々な山野草を採集できる便利さがある。初めておし花を作るプロセスを拝見したが、朝の早いうちに集めた瑞々しい花々をスタッフが押し花器に入れて乾燥されている。

  先生はこれらの花を使って絵を描くのであって、一般的な手工芸からは全く違うジャンルにあり、絶えず新しい表現を模索されている。そのために数十年間デザインの勉強やドライフラワー、紙粘土の勉強などもしておし花に調和させた紙粘土による花瓶やかごの創作も数知れない。

  先生は現在広島県内外からの要請により押花教室やドライフラワー教室を数多く開かれさらに銀座での個展企画や作品集2の発行など控え多忙を極められているため、構想を練り上げた末の創作は専ら夜中になされている。さらにこれまで展覧会を開催してきた国内遠隔地や海外からも依頼が相次いでいる。

  植物の豊富な田舎暮らしで思いつき、一念発起して此処にいたった道程をお聞きする限り、まさに吉田兼好の言う「好きこそ物の上手なれ」という徒然草の世界である。ただし書物でなくパソコンを使いこなす芸術と語り部の世界においてであるが・・・。

  「生花は数日の命、デザインがよければ押花は10年でも命永らえる。」「細くて頼りないけれど、倒れても起き上がる強さを持つコスモスが好き。」というお言葉が作品と同様に印象的であった。

<文・馬場宏二/写真・原敏昭>

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取材中の風景