アトリエ訪問第24回 星加 哲男氏

どんな絵を描いていても、それはすべて自画像。自分の内面を表現しています。

プロフィール

1984年 浅井忠記念賞展入選/同90・92
上野の森絵画大賞展入選/同85・91・92
北九州ビエンナーレ入選/同86
伊藤廉記念賞展入選
1986年 現代日本絵画展入選/同88
1992年 ひろしま美術大賞展優秀賞/96同賞90・94佳作賞
1997年 広島の美術佳作賞/同91・93・95・99入選
新協展安田火災記念賞/他4回受賞
1998年 青木繁記念大賞展奨励賞/同97・99・00入選
雪舟ますだ美術大賞展佳作賞/00同賞
1999年 広島70人展出品
2000年 安田火災美術財団奨励賞展出品
しんわ美術展グランプリ/98同賞97銅賞
2001年 小磯良平大賞展入選/同96・00
2004年 伊豆美術際大賞/98・00佳作賞/96・97・00入選
他出品
現 在 新協美術会委員・日本美術家連盟会員
呉美術協会理事

  広島市内から南東へ快晴の海岸線を走った。呉市内から複雑な坂道を登ってアトリエに到着した。真夏の日射しをうけて出迎えてくださった先生は黒の衣服。少しも暑そうに見えず、さらりと着こなされていた。

  入ってすぐ、イーゼルに乗った水彩の画面が最初に目を捕らえた。近寄ると広い余白の中程に、描写し尽くされ、すでに香るばかりの白百合が二輪。下描きの線も、あたりをつけた薄い筆跡さえ見当たらない。「画面の構成は頭の中に既にあるのです。直接描いていくのは、初めに抱いたイメージが、あたりをつけ、下描きをしていく課程で消耗してしまうのを防ぐためです。そうすることで筆に勢いを出して、偶然出た形も生かしながら全体を仕上げていくようにしています。」と穏やかな語り口で何でもないことのように話される。

  近年の先生は主に、崩落と再生を象徴するトマトの群生を大画面で描いた作品や、緻密な筆致で描かれる繊細な花や植物などの小品を描かれている。「引き抜かれて枯れ果てたかに見えるトマトの群生は、まとめて積まれている状態でさえ新たに実を赤く成熟させるほどの生命力を持っています。花にも強いというイメージを感じます。また、どんな絵を描いていても、それは私自身の不安感や再生への願いなど、内面の発露となり、全ての絵が自画像なのです。」訪ねた日、ちょうど三良坂平和美術館で「明日への輝き・平和展」が開かれている期間だった。星加先生が発表されている作品は「裂」。渦巻き、膨れあがるトマトの群生。はじけてしまう赤い実。キノコ雲に見立てられたそれは、画面の下小さく水平線を従えた原爆ドームの上で、大きくうねっている。

  新協美術会で委員をされ作品を発表する他に精力的に公募展に出品され、数多の賞を受けている。「自分がどこまでできるのか。確認するために自分で締め切りをつくって追い込んでいく。絵を見てこまめな性格に見られがちですが、実はそうでもないんですよ。だから作品をつくる状況を設定するんです。」

  苦楽を共にされた奥様との間にお子様が4人。それぞれのアートの道を歩んでいきそうとのこと。先生の絵画への姿勢があまりにも自然なため、それは素直にそうなっていくのだと思いながらアトリエを後にしました。

<文・泉尾祥子/写真・原敏昭>

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取材中の風景